Interview

洋上風力基礎の量産に挑む。
その先に、GXを支える現場の未来がある。

日鉄エンジニアリング株式会社

Profile

大森 勝徳

日鉄エンジニアリング株式会社
若松工場 工場長

1992年入社。製作技術者として大型鋼構造物の製作に携わり、現在は工場運営を担う。洋上風力基礎の増産に向けた設備投資や生産体制の整備、人材育成を推進している。

※所属・役職は取材時(2026年6月)のものです。

Profile

関谷 宏紀

日鉄エンジニアリング株式会社
若松工場

2023年入社。大型海洋鋼構造物の製作計画や現場との調整を担当。入社直後から洋上風力プロジェクトに参画し、製作計画や重機配置などに携わる。

※所属・役職は取材時(2026年6月)のものです。

Profile

大森 勝徳

日鉄エンジニアリング株式会社
若松工場 工場長

1992年入社。製作技術者として大型鋼構造物の製作に携わり、現在は工場運営を担う。洋上風力基礎の増産に向けた設備投資や生産体制の整備、人材育成を推進している。

※所属・役職は取材時(2026年6月)のものです。

Profile

関谷 宏紀

日鉄エンジニアリング株式会社
若松工場

2023年入社。大型海洋鋼構造物の製作計画や現場との調整を担当。入社直後から洋上風力プロジェクトに参画し、製作計画や重機配置などに携わる。

※所属・役職は取材時(2026年6月)のものです。

日鉄エンジニアリングは、製鉄プラントをはじめ、エネルギー、環境、都市インフラなど、多様な分野で社会基盤を支えてきた総合エンジニアリング企業だ。そのものづくりを支える拠点の一つが、福岡県北九州市にある若松工場である。国内有数の広大な陸上ヤードと大型岸壁を備え、日本海・太平洋・東アジアへのアクセスにも優れた立地を活かし、大型海洋構造物の製作を強みとしてきた。その若松工場では今、GXを支える洋上風力基礎の製作に挑んでいる。取り組みに携わる工場長・大森さんと現場で活躍する関谷さん二人に、プロジェクトにかける想いと、その先に見据える未来について聞いた。

大型鋼構造物の技術を活かし、洋上風力基礎を手がける

大森:若松工場は1969年の設立以来、石油備蓄基地や東京湾アクアライン、羽田空港D滑走路など、多くの大型鋼構造物を製作してきました。現在はその技術を活かし、洋上風力発電の基礎構造物を手がけています。
そんな若松工場で、私は工場長として工場全体の運営を担っています。日々の生産体制を整え、品質や安全を守るほか、今後の洋上風力基礎の増産に向けた設備計画や人材育成にも関わっています。今回の大型ジブクレーン導入についても、実行段階の統括責任者として、関係部門と連携しながらプロジェクト全体を進めています。

関谷:そうした洋上風力基礎の製作現場で、私は製作計画や現場との調整を担当しています。2023年の入社して間もない頃から洋上風力案件に携わり、製作方法の検討や重機配置、現場との調整などを経験しました。もともと大きな案件に携わりたいという思いがあったので、洋上風力という新しい分野に挑戦できたことはとても貴重な経験になっています。

大型鋼構造物の技術を活かし、洋上風力基礎を手がける

大森:洋上風力基礎は、若松工場がこれまで培ってきた大型構造物の技術を活かせる分野です。一方で、設備規模が大きく品質や信頼性への要求も高いため、従来のやり方を続けるだけでは乗り越えられない課題もあります。そのため、今回新たに大型クレーンを導入し、浮体式基礎の大ブロック製造から最終組み立てまでの効率化を図る予定です。
社会が求める洋上風力の導入に応えていくために、基礎構造物をより安定的に、より多く生産できる体制を整えていく。それが、本取り組みにおける若松工場の大きな役割だと考えています。

大型鋼構造物の技術を活かし、洋上風力基礎を手がける

大型構造物だからこそ「どうつくるか」から検討する

関谷:洋上風力基礎は、一つひとつが非常に大きな構造物です。そのため、製品そのものをつくる以前に「どうつくるか」を考えなければなりません。例えばジャケット構造では、部材をどの向きで運び、どこに置き、どんな順番で組み立てるかまで、計画する必要があるのです。一つの工程を変えるだけでその後の作業にも大きく影響するので、製作全体を逆算して考えることが重要になります。

大森:まさにそこが洋上風力の難しいところです。構造物が大型になるほど、重機の選定や製作場所、安全対策など、あらゆる計画の精度が求められる。さらに、風車の振動に耐えるための疲労設計や、海上で長期間使用するための塗装品質など、高い品質要求にも応えなければなりません。

関谷:案件ごとに形状や重量も異なるので、過去のやり方をそのまま使えないことも少なくありません。そこで、現場の意見も取り入れながら、その案件に最適な治具や製作方法を考えています。条件が一つ変われば必要な段取りも変わる。だからこそ毎回ゼロから工夫する必要があるんです。

大森:こうした挑戦を支えているのが、若松工場の強みです。国内有数の広大な陸上ヤードや大型岸壁を備えているため、大型構造物でも柔軟なレイアウトや効率的な製作・出荷が可能になっているのです。

大型構造物だからこそ「どうつくるか」から検討する

GXが、目の前の仕事と社会をつないでくれた

関谷:正直入社した頃は、GXが自分の仕事とどう関わっているのかはよく分かっていませんでした。しかし洋上風力プロジェクトに携わる中で、自分たちが製作した基礎構造物が再生可能エネルギーの未来につながっていることに実感を持てるようになっていったのです。
特に印象的だったのは、自分が携わった基礎構造物が実際に海へ設置され、家族にも「これをつくったんだ」と話せたときのこと。目の前の仕事が社会につながっていることを実感できた瞬間でした。

大森:現場の一人ひとりが、そうした実感を持てるようになってきたことは大きいと思います。私自身も、以前はGXを社会的な要請への対応だと捉えていました。しかし洋上風力事業に取り組む中で、GXは当社の技術や人材を次の世代へつないでいくための重要なテーマなのだと考えるようになったのです。GXは特別な誰かが進めるものではなく、日々の現場の積み重ねによって支えられているものだと痛感しました。

関谷:その意味では、日々の点検や現場との調整もGXにつながっていると感じています。洋上風力基礎は一つひとつが巨大で、高い品質と安全性が求められる。だからこそ、製作管理の中で積み重ねる一つひとつの確認や改善が、最終的には再生可能エネルギーの安定供給につながっていくのだと思います。

GXが、目の前の仕事と社会をつないでくれた

技術を未来へ。GXを次の世代へ

関谷:今後は、洋上風力分野で通用する技術者として成長していきたいと思っています。社内には、溶接や塗装、組み立てなど、それぞれの分野に豊富な知識を持つ先輩方がいるので、そうした知見を吸収しながら、一つひとつの知識を自分の中で整理し、製作に応用できる力を身につけていきたいです。将来的には浮体式基礎の製作にも関わり、その魅力や重要性を次世代に伝えられる存在になりたいと考えています。

大森:洋上風力は、これから本格的な普及が期待される分野です。その未来を支えていくためには、関谷さんが言うとおり技術や人材を次の世代へ受け継いでいくことが欠かせません。
GXというと大きな設備投資や新しい技術に目が向きがちですが、本当に大切なのは、現場で積み重ねてきた技術や改善を未来へつないでいくことです。そうした日々の取り組みが評価され、真面目にものづくりを続ける工場が選ばれる社会になってほしい。そして、若い世代が「製造業で働くことは社会に貢献できる仕事だ」と誇りを持てる社会になってほしいと思っています。

技術を未来へ。GXを次の世代へ