Interview

桁外れの強度のロープで
浮体式洋上風車の未来をつなぐ。

ナロック株式会社

Profile

山野 照幸

ナロック株式会社
繊維ロープ製造部

ロープに使われる原材料や製品の品質を管理する品質管理部で経験を積んだ後、繊維ロープ製造部に異動。原料となる原糸から素材に加工する撚糸や、端末加工など仕上げを行う精工など、ロープ製造における各工程に携わる。現在は主に船舶用として使われる直径60mm程度の太い係留ロープの製造オペレータ業務と並行して、浮体式洋上風力発電に使用される係留ロープの開発プロジェクトに携わる。

Profile

山野 照幸

ナロック株式会社
繊維ロープ製造部

ロープに使われる原材料や製品の品質を管理する品質管理部で経験を積んだ後、繊維ロープ製造部に異動。原料となる原糸から素材に加工する撚糸や、端末加工など仕上げを行う精工など、ロープ製造における各工程に携わる。現在は主に船舶用として使われる直径60mm程度の太い係留ロープの製造オペレータ業務と並行して、浮体式洋上風力発電に使用される係留ロープの開発プロジェクトに携わる。

停泊する船を港につなぎ止める係留ロープをはじめ、さまざまな産業用ロープ・スリングの製造を手がけてきたナロック株式会社。世界水準の船舶係留ロープは国内で約40%のシェアを誇るなど、質の高いロープを世に生み出し続けてきた。そんな同社が現在取り組んでいるのが、浮体式洋上風力発電に使用される係留ロープの開発プロジェクトだ。従来とは比較にならない強度とサイズが求められるこの挑戦において製造を担当する山野照幸さんに、プロジェクトや現場への想いについて話を聞いた。

桁外れの強度のロープ製造に挑む

現在当社は、洋上の巨大な風車に使用される係留ロープの開発に取り組んでいます。ロープの開発と聞くと単純に編んで終わりというイメージがあるかもしれませんが、実際は用途に応じて原料の選定から、編み方などの製造プロセス、その製造環境まですべてを考える必要があり、一筋縄にはいきません。ロープは使われる場所によって求められる性能が大きく変わるため、水に浮く必要はあるのか、伸びは必要なのか、耐久性をどこまで求めるのかといった条件を一つひとつ整理し、最適な構造を設計していきます。今回のプロジェクトでは、海中で風車を支えるためにこれまで手がけてきたロープの最大クラスと比較しても約10倍の強度が求められており、設計の前提から見直す必要がありました。

そんな中、私は製造担当として新工場における人員配置や製造プロセスの検討を進めています。また、製造部門の代表としてプロジェクト全体の会議にも参加し、工場内の導線や作業環境について現場の視点から意見を出す役割も担っています。このプロジェクトに参加することになったのは、労使交渉の場で社長から直接声をかけられたのがきっかけでした。突然の話ではありましたが、年齢的にも後の世代に残せるものをつくりたいという想いがあったので、「やります」と即答しました。

高強度だからこそ、加工の難しさがある

求められている強度が10倍になるということは、単純に言えばロープのサイズも大きくなるということです。今回想定しているロープは直径300ミリを超えるもので、普段扱っている60ミリや80ミリのロープとはまったく別物になります。このサイズになると人の手で扱うのも難しいですし、重量も桁違いになるため、まずどのようにして移動させるのかというところから考え直す必要があります。さらに難しいのは、ロープは作って終わりではないという点です。完成した後には、規定の長さに切断したり、端部に加工を施したりといった工程が必要になりますが、これだけのサイズになると、これまでのようにナイフで切ることができるのかどうかも分からない。機械を使うとしても、どのような方法が最適なのかを検討しなければなりません。

現時点では、普段扱っているロープでの作業をベースに直径300ミリの場合はどうすべきかと考えながら、頭の中でシミュレーションを繰り返しています。ただ、どれが正解かはやってみないと分かりません。試行錯誤を繰り返しながら、一つひとつ課題をクリアしていくしかないと思っています。

最大の課題は、タワーの「大きさ」

現場の視点が、プロジェクトを前に進める

当社には社員のアイデアを尊重して任せてくれる風土があり、私自身も課題を見つけて変えていくことが好きなので、このプロジェクトにはモチベーション高く取り組むことができています。製造担当の代表として参加している会議では、長年現場を見てきたからこその視点を活かし、気づいたことは積極的に意見として出すようにしています。先日の会議でも製造現場の照明について意見を言ったところ、快く取り入れてもらえました。

また、ものづくりにおいては、やり方は一つではないと思っています。同じ品質のものができるのであれば、アプローチは人それぞれで構わない。実際に一緒に働くメンバーに対しても、「僕に合わせる必要はない」と伝えています。もちろん、意見を出し合う中で衝突することもあります。しかし最終的には「やらなあかん」という共通の目的に向かって進めるメンバーが揃っていると感じています。一人で考えても限界がありますが、互いに意見を出し合いながら進めていくことで、より良い方法が見つかると信じています。

前例がないからこそ、やりがいがある

完成する瞬間への期待を胸に、責任を全うする

新工場では、加工や仕上げといったロープ製造において大変重要な最終工程を担当するため、人員配置も含めて責任を持ってやり遂げたいと考えています。30年以上この会社で仕事をしてきましたが、ここまで大きなプロジェクトに関わる機会はなかなかありません。だからこそ実現できたときには、自分としても会社としても、一段階上に進めるのではないかと思います。完成したロープが実際に浮体式洋上風車に取り付けられる際は、ぜひこのプロジェクトに関わったメンバーで現地に行きたいですね。実際に使われている様子を見ながら喜びを分かち合える瞬間を迎えられたら、これ以上の喜びはありません。

最近はニュースで洋上風力という言葉を聞くと、自然と目が向くようになりました。これまで意識してこなかった分野でしたが、このプロジェクトに関わることで自分の中でも見え方が変わってきている実感があります。大きな取り組みに携われているのだという意識を持ちながら、今後も一つひとつの課題に向き合い、確実にかたちにしていきたいです。

完成する瞬間への期待を胸に、責任を全うする